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《本田解説に思う》2022-12-27 Tue [サッカー]

カタールW杯の余韻にまだ浸っている日々。
さて、AMWBAの「本田解説」のことである。
とにかく面白かった。従来のサッカー中継の常識を破り、
革命を起こしたとさえ思う。

長年サッカーを観てきたが、
本田の解説のおかげで、今ピッチで何が起こっているのか、
どんな戦術的な駆け引きが行われているのか、
この選手交代は何のためなのかなど、いろんなことが
初めてわかってきた。それは何故だろうか?
かなり長くなるけど、思いつくままに記しておきたい。

まず、従来の実況はアナウンサーが主役だ。
「間」が空くのを恐れるかのようにしゃべりまくる。
パスが渡るたびに選手の名前を読み上げていくし
(まるでラジオ中継のよう)、点がなかなか入らない
膠着状態になると視聴者を飽きさせないようにと思うのか、
チームの過去の戦績や選手の経歴など、
試合の流れとは直接関係ないデータを長々と披歴する。

その途中で突然訪れるゴールチャンス。で、中断。
結局そんな情報は頭に残らない。また同じことを何度も
繰り返すことになっていく。そして肝心の解説者はと言うと、
実況アナが質問してから話し出すのがほとんどである。

ところがAMEBAの実況は、解説者の本田圭佑が主役。
彼は目の前でやっている試合のことしか語らない。
しかも表現が独特だから、実況の寺川アナは
「どういう意味ですか?」と聞き、補足説明する形で進む。
というより、図らずも、そういう形になってしまったのだ。
本田は自由奔放で、何を言い出すかわからんからね(笑)。

★ドイツ戦の解説を例にあげると・・

本田「ギュンドアン、うざいなあ」
寺川「どういったところでしょう?」
本田「どこで受けたら日本が嫌かわかってる」

本田「伊東さん見てください。今最終ラインにいて
   6バックになってる。タケと伊東さんが出ていけない。
   エネルギーがないんですよ」
寺川「どうすれば改善できるんですか?」
本田「僕やったら5枚気味にします・・
   5バック3ボランチ・・5-3-2やなあ」

★クロアチア戦では・・

本田「いやもうほんと、なんか雑い上げ方うざいわ~」
寺川「あの辺って感じで蹴ってくる」
本田「サッカーっておもろいなあ~ほんまに!
   あんないい加減な感じが一つの戦術っすからね」

★ボルテージが上がってくると、もはや解説者ではない・・

本田「ズーレが穴なのよ、わかる? もっとそこ狙っていけって」
寺川「相手の右サイドです」

★オフサイドのVARチェックが入ると・・  

本田「オフサイオフサイ、どう見てもオフサイ。
   いります、副審? オフサイじゃねーよみたいな
   雰囲気出してんですよ、それが一番びっくりしてます」

★ドイツのシュートがゴールポストを叩いたときは・・

本田「いいよいいよ、もうピンチは仕方ない。
   入らなきゃオッケー。ボール見ろボール見ろ、すぐ」

★ロスタイムが7分と表示されると・・

本田「なぁなふん!! 嘘やろ」「根性や、こっから」
寺川「あと1分半です」
本田「もう時間稼げって、サイドへ行けって、タクマ。
   ファウルもらえ、思いっきり」

★極め付けはピッチリポートの槙野が加わった
 スペイン戦の「三苫の1ミリ」・・

槙野「ラインは割ってないぞ、オレの目の前だったぞ今」
本田「(スロー映像を観て)出てたっぽいで槙野」
槙野「ノォォウ!」
本田「(別角度の映像を観て)ええっ!出てないかも!!」

思い出したのが、ロシアW杯でスタメンではなく
控えに回った本田がピッチサイドで懸命に声をかける姿。
つまり本田の解説は、試合をしている選手と一緒に
戦っているような目線とテンションで語っているのだ。
そんな気持ちがこもったダイレクトな言葉だからこそ
視聴者の心に響く。だからわかりやすい。

さらに「本田解説」には「間」が多い。
「・・めっちゃむずい・・」 悩んだり、迷ったり、
試合に見入ってしまってしゃべらない時間さえある。
この「間」が大事。視聴者にとっては本田の解説を
反芻する時間ができる。

もっと言うと、緊迫した場面こそ黙って見つめたい。
映像が十分に語っているのだから、
何もしゃべらないでほしい。

★そして本田の素の人間性が現れたのが、
 クロアチ戦のPK戦が始まる前・・

本田「PKを・・見ます?」
寺川「どういうことですか(笑)」
本田「見れます?」
寺川「・・なかなか厳しいですが・・ベスト8への壁です!」
本田「いやあ・・いや、見れないですよね」
寺川「ちょっとねえ」
本田「だってねえ、ようやったじゃないですか。PKって
   ほんとに運だと思うんですよ、やれることなさすぎて・・
   (2010W杯の)パラグアイ戦もPKやったんで、2回目、
   次は、もう勝たせてよって・・もうほんまねえ無理っす。
   こんなドキドキするのってあります?」
寺川「ほんとですね」
本田「なんか思う、選手の気持ちを、もう・・なんか、
   こんな言い方変ですけど、こんな時だからこそ、
   楽しくいきます、じゃないと」
寺川「保ちませんか」
本田「痛すぎて、いろんなところが・・」

これはもう単なるサッカー中継ではない。
極上の人間ドキュメンタリーを観ているようだった。

多分、もう二度と「本田解説」は観られないだろう。
一生記憶に残るであろう奇跡的なW杯だったからこそ
生まれた一期一会のものだと思うから、
むしろやって欲しくない。幸せな時間だった。

みなさま、良い年を!
「本田解説」のような、もっと「いい加減」で、
もっと「おおざっぱ」な感じの世の中になればと願います。



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